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和40年代、少年時代を過ごした大阪の北摂地方は、その後やってくる開発ラッシュに飲み込まれる前の、残照のような風景がかろうじて残されていました。畑や田んぼ、雑木林や廃屋、池や川など、少年にとって未知なる世界がたっぷりの時間とともにありました。

レビゲームなどありませんから本を読んだります。江戸川乱歩やジュール・ヴェルヌの物語が特に好きでした。特に乱歩の「パノラマ島奇談」の描写は鮮烈なイメージで、子供ながら、頭の中で懸命になって不思議な世界を想像したものです。
パノラマ島奇談)

高生時代は絵と模型作りに没頭(右:その頃の模型写真)。進路にあたっては美大か農学部か(?)に悩みつつも農学部へ、美大への思いを引きずりながらも何とか卒業。

西の私鉄系遊園地に就職。いよいよ「非日常世界に携われる」と意気込むも、落日の遊園地には余力も無く、既存の組織に対する無力さも痛感し、失意のうちに退場。(件の遊園地もその後消滅)

ら手の届く範囲での「ものづくり」、ということで職人の道を選択。職業訓練校の木工科に通った後、木工所に勤務。以来10余年、ただひたすら作り続ける。

んな折、息子の幼稚園で「親子工作の日」があり、それまで朧げにイメージしていた「風景の箱」を作ってみる(写真)。

られた材料と時間の中で作った他愛ないものにも関わらず、妻や子供達が目を輝かせて覗き込みます。その姿に夢やときめきを与える仕事への情熱を思い出し、本格的に「風景の箱」製作を決意。

かし、透視図法や遠近法の本を読み、昔のパノラマ館やジオラマ館の資料を参考にしたりしますが、製作は難航します。そして試作、駄作、試行錯誤の末、ようやくハンズ大賞入賞作「風景の小箱」に辿り着きます。
パノラマ館、ジオラマ館) (試作、駄作、試行錯誤の跡)

景の小箱は普通の模型やジオラマと違って「小さく限られた空間」が舞台になります。ぎりぎりのスペースに広がりのある世界を詰め込むという矛盾。答えはなかなか出ません。それでも悩んだ末、作品が形になり、その作品を楽しそうに覗いてもらえるのが何よりも嬉しい瞬間なのです。

箱を通して、小さな子供から年配の方まで楽しんでいただける姿を見ると、自分にとって、「風景の小箱」はある意味ミニマムに実現可能なテーマパークになったといえるのかもしれません。

れからも、職人的なスタンスで、さりげなく。そして、存在感のあるものを作っていきたい・・・そう願ってやみません。
箱庭屋

安田誠一
YASUDA SEIICHI


大阪市在住